世界を個人で飛び回るバイヤーの方が営む骨董店で昔購入した物です。滅多に出回らない希少なコレクターアイテムだそうです。この機会に如何でしょうか。マレーシア ボルネオ島（インドネシア カリマンタン島）に生活する「イバン・ダヤク族」による、木綿経絣の衣装布 ビダン ２０世紀初めのアンティーク作品。 イバンダヤク族は腰機を用い経絣の技巧により衣装や儀礼用布等の様々な染織作品を手掛ける伝統を有します。ロングハウスと呼ばれる大型の長屋式高床住居で多数の世帯が共同生活を行う中、儀礼用布プア・クンブ等は共同体の所有物として作られることとなりますが、この女性用の腰衣ビダンは作り手個人が所有できる物として、自身の技量・趣向を凝らし心血を注いで作り上げる衣装となります。 ボルネオの森中に半野生化し栽培される“タヤ”と呼ばれる木綿を素材とした糸作りにはじまり、草木素材による染料作り、括り・染め・織りの全てを自身の手により行うモノであり、多大な労力・技巧を掛け、糸作りから完成まで数箇月の月日を要するモノとなります。ボルネオの森の様々な動植物が混交した繊細な“鉤状蔓草文”は精霊信仰に基づくイバンダヤク族固有の意匠、作り手の創造力が反映され一点一点が異なる表情を有します。信仰のもと神経の通った手仕事により生み出された作品ならではの圧倒的な生命感・存在感に惹き込まれる一品です。 百年以上の時代を遡る作例で、当時の上質な手紡ぎ木綿と天然染料を用いた鉤状蔓草文を中心とする繊細かつ力強い絣柄、特に織り密度の高さ、布の柔らか味は後年の作品には見られない特徴となります。さらに特筆すべきは布中央で絣柄の構成が大きく切り替えられている点で、これは腰衣として着用した際に前後で異なる表情（パギソレ様式）となるように意図したもので作品の完成度の高さに目と心を奪われます。 出来の秀逸さとともにコンディションの整った完美品としての本品は、紛うこと無くミュージアムピースクラスと位置づけられるもの、世界に一点の表情・生命を有する価値あるコレクションピースであり、一期一会の掘り出し物です。 サイズ　約１２２×５６ｃｍ ※実際に着用していた本物の衣装古布のため、傷みがございます。またハンドメイド品ならではの染め・織りムラ等がございます。古布等に御理解のある方へ。